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空き家問題と司法書士「概要編」

住宅を所有している誰もが
この問題についての当事者になり得る空き家問題

近年、『空き家問題』という言葉を新聞・テレビ等でよく見聞きするようになりました。
ただ、空き家自体は昔からしばしば目にするものであり、特に珍しいものでもありません。ところが今や、空き家は社会問題とされており、平成26年11月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が成立し、平成27年5月26日から完全施行され、国を挙げて空き家問題に対する対策を講じようとしています。

では、なぜ空き家が問題とされるのか、なぜ空き家が増えているのか、空き家が増えるとどうなるのか。我が国の空き家についての今とこれからについてご紹介したいと思います。

また、住宅を所有している誰もがこの問題についての当事者になり得ます。事前に十分な知識を身につけ、空き家問題の当事者にならないための備えをして頂きたいと考えています。

そして、普段から不動産登記業務を通じて不動産関連法令に精通している司法書士が、この空き家問題に対してお役に立てる存在であるということも併せてご紹介致します。

>>概要一覧

>>空き家問題の解決策と予防策

sec01. 空き家問題の現状

日本の住宅数と世帯数

我が国の総住宅数は6063万戸、総世帯数は5246万世帯となっています。(平成25年10年1日現在)これは、総住宅数が総世帯数を818万上回っています。

総住宅数及び創世対数の推移ー全国のグラフ

日本の空き家の数

居住世帯のある住宅は、5210万戸
居住世帯のない住宅は、 853万戸 (平成25年10年1日現在)

居住世帯のない住宅のうち空き家となっているのは、820万戸あります。
空き家率は13.5%になります。

日本の空き家の数の推移グラフ

sec02. 空き家がなぜ問題になるのか

防災上の問題
  • ・ 老朽化した家屋の倒壊する。
  • ・ 空き家の屋根、外壁等が飛散
  • ・落下して、通行人に危険を及ぼす。
  • ・ 放火等による空き家の火災、延焼事故の発生。
防犯上の問題
  • ・ 空き家に不審者が侵入したり、不法滞在したりする。
  • ・ 空き家の存在により、地域住民が治安悪化に対して不安を持つ。
環境衛生上の問題
  • ・ 空き家の敷地が不法投棄の対象になり、ゴミが投棄されて悪臭・害虫が発生する。
  • ・ 空き家敷地内の雑草繁茂、樹木の越境に対する近隣住民の苦情の発生。
景観上の問題
  • ・ 空き家が破損・腐食することで周辺の良好な景観を害することになる。
行政上の問題
  • ・ まばらにしか人が住んでいないことにより、行政コストが割高になる。

sec03. なぜ空き家が増えるのか

1 我が国の仕組みの問題

1. 景気対策

日本の住宅は、賃貸物件では一戸建てや分譲マンションよりもグレードがかなり落ちる設備が施されています。したがって、賃貸物件に住んでいた世帯がやがて、新築戸建や分譲マンションへ移り住む傾向にあります。これは、賃貸から新築物件へ移住させようとする政策的意図が介在しています。
そして、新築住宅建設を誘発させることによって、経済波及効果を生み出すことを目的としています。一説によると、新築住宅建設による経済波及効果は、住宅金額の約2倍とも言われています。
景気の悪化→新築住宅購入促進政策の実施(税制優遇、住宅ローン金利など)ということが行われ、新築住宅の建築が景気回復の政策的ツールとなっています。

なお、日本の住宅数は、統計開始した昭和33年以降、一度もその数が減少したことがありません。

2. 法制度
・ 現行民法の相続法制度
⇒相続人による共同相続が原則となっており、相続を重ねるにつれて権利が細分化されてしまう。
・ 区分所有法
⇒マンション建築ブームから約50年が経ち、全国のマンションが老朽化しているが、建替えのための決議が厳格な上に、費用の問題等実務上の問題が少なくない。

[建物の区分所有等に関する法律 第62条]
(建替え決議)
集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。

3. 税制度
・ 固定資産税・都市計画税に住宅用土地に対する税軽減
⇒住宅が建つ敷地の固定資産税は、住宅1戸につき200㎡までが6分の1、200㎡を超える部分については3分の1に軽減されている。市街化区域にかかる都市計画税についてもそれぞれ3分の1、3分の2となる軽減措置があり、更地にしてしまえばこの軽減措置がなくなり、税負担が増加する。
4. 人口構造
・ 人口減少

日本の人口予測(国立社会保障・人口問題研究所による推計)

2030年
全人口 1億1660万人(現在より1000万人減少)
生産年齢人口(15歳~64歳)6773万人(全人口の58%)
高齢者人口(65歳以上)3614万6千人(全人口の31.6%)
2050年
全人口 9700万人

日本の人口は減少しており、世帯数も平成31年(2019年)をピークに減少していくと予測されています。したがって、住宅を必要とする世帯数も減少していきます。

・ 高齢化社会

高齢者(65歳以上)がいる世帯数の推移(昭和58年に比べて)

高齢者がいる世帯数
866万世帯→2086万世帯(2.4倍)
高齢者がいる夫婦のみの世帯数
144万世帯→584万世帯(4.05倍)
高齢者単身世帯数
97万世帯→552万世帯(5.6倍)

⇒高齢者がいる世帯のうちの54%が、高齢者単身もしくは高齢者夫婦のみの世帯となっています。

2 個別の問題

1. 相続問題

空き家所有者が死亡したが、その相続人が不明である場合や相続後の権利関係の話し合いがまとまらずにそのまま放置されている場合があります。
法的には、空き家所有者が死亡した後は、その相続人全員で共有している状態ですので、話し合いがまとまらないと建物を壊すことも売ることもできません。

2. 高齢者問題

所有者が高齢で適正な管理ができない場合や、認知症等により管理委託ができない場合、また高齢者の独り暮らしから子供世帯に引き取られたり、老人ホーム等の施設に入居して空き家になる場合があります。

3. 費用問題

1、2の場合に建物解体費用を捻出できずに放置される。数百万円を要する場合もある上、産業廃棄物の処理費用は上昇傾向にあります。
また、建物を取壊すと土地の固定資産税・都市計画税が跳ね上がるため、利用価値のない建物であっても放置してある場合が多いです。

4. 遠方問題

相続により不動産を取得しても、遠方に住んでいるために適正管理ができない場合があります。またそのような場合、近隣からの苦情に対しても問題意識が低く、放置してしまう傾向があります。

5. 接道問題

空き家を取壊して更地にしたとしても、建築基準法上の接道要件を満たしていないため、建物の建て替えができない場合があります。そのような土地は価値がほとんどないため、売却することが難しいです。
平成20年の総務省の住宅・土地統計調査では、全空き家の敷地のうち、接道幅が4m未満だったものが38.8%、接道していないものが2.8%ありました。

6. 賃貸に対する抵抗感

空き家を賃貸に出すことに対して、心理的抵抗感を持っている方が少なくありません。自分の実家に他人が居住することに対する抵抗感や、賃料不払いがあった場合等に面倒な思いをしたくないといったことです。このような場合空き家は利用されることなく、劣化していき市場価値が下がり、売却がしにくくなっていきます。

sec04. 空き家を放置することによるリスク

1 工作物責任の問題

民法第717条には、工作物責任というものが規定されています。これは、空き家の所有者が空き家を適正に管理することを怠り、それによって他人に損害を生じさせてしまった場合の責任です。
この規定があることにより、空き家の所有者は、空き家を放置しておくことそれ自体にリスクがあると言えます。
空き家を放置したことによって損害が生じてしまった場合の損害賠償責任の試算をしたものをご紹介します。

外壁材等の落下のケース

長年放置された空き家の外壁材が道路に落下し、道路を通行していた子どもに当たって死亡させてしまった場合。

モデル設定
死亡:
11歳(小学校6年生)の男児
損害額
死亡逸失利益3,400万円
慰  謝  料2,100万円
葬 儀 費 用130万円
合    計5,630万円

2 竹木、雑草、火災などによる近隣への被害

失火の責任に関する法律では、「民法第709条の規定は失火の場合にはこれを適用せず。ただし、失火者に重大なる過失ありたるときはこの限りにあらず。」と規定されています。
そして、火災保険の普通保険約款第2条には、「保険契約者、被保険者またはこれらの者の法定代理人の故意または重大な過失によって生じた損害については保険金を支払わない。」とされています。
したがって、空き家所有者が空き家を放置したことにより何らかの事態によって火災が発生して近隣へ延焼した場合には、想定外の責任を負わなければならない可能性があります。
また、空き家近隣住民の方からの苦情で多いものが、竹木や雑草の繁茂による越境や不衛生です。

3 不動産価値の低下、売却の可能性の低下

空き家を放置することで建物は劣化し、土地は荒れ、不動産の価値は低下していきます。放置空き家が散在する地区は、地価の下落につながります。
そして、そのような不動産を売却しようとしても、買い手がつきにくくなってしまいます。

4 行政からの指導

平成27年5月から「空家等対策の推進に関する特別措置法」が完全施行されました。
この法律では、保安上危険な家屋や衛生上有害な家屋に対して、行政の立入調査が実施され、建物の除却・修繕、立木の伐採等の措置の助言や指導、勧告ができる旨規定されています。そして勧告に従わない場合には、空き家所有者に対して是正命令がなされ、命令に従わない場合には行政代執行がされることとなっています。

つまり、行政の指導に従わない場合には、行政によって強制的に空き家を除取り壊され、空き家所有者はその取壊し費用を負担しなければならなくなるということです。

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